ネット時代の勝手連と公選法

このブログでは、どの候補を支援するかに関わりなくすべての勝手連を支援するために、勝手連にとって有用な公選法の情報を提供していきます。 (引用・転載フリー。ただし商業利用は禁止です。)

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更新についての判断基準

 勝手連や勝手連関係者のブログやWEBサイトは告示後も削除・閉鎖の必要はありません。
 悩むのは更新です。

 更新に関連するのは、公選法第146条のいわゆる「脱法文書」という奴です。

第146条 何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として、公職 の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布 し又は掲示することができない。

 おいおいって、感じですよね。候補者本人だけじゃなくて、「推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画」までだめなんて、大きな選挙のときは日本の経済活動がとまっちゃうんじゃないの?と思ってしまいます。

 まず基本としておさえておくべきは、禁止されているのは「
第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として」の頒布・掲示であることです。これらは「選挙運動のために使用する」、つまり、投票呼びかけなど当選を得させる目的の文書です。ですから、目的が選挙運動目的でなければ、名前が載っていても問題ないのです。

 とは言え、ブログやWEBサイトの題名自体に候補者本人の名前が入っている場合は、更新が頒布・掲示とみなされる危険性は否定できません。
 そこで、こういう「冠」タイプのブログやWEBサイトは、安全策をとるなら更新をやめてそのまま、告示前の内容をみられる状態に放置しておくのがいいかもしれません。

 その場合、たまたまブログやサイトの名前に候補者の名前が入っていることが問題なのですから、別のブログやサイトを開設して、投票依頼・呼びかけにならない政治政策の評論やできごと・考えたことの日記などを書くことは全く問題ありません。告示前に、新しいブログ、サイトを旧ブログ、サイトに紹介しておくと一層効果的でしょう。

 「冠」型でないブログやサイトの場合、たとえば日記や政治評論の中に候補者の名前がいっさい入ってはならないのか? またさらに、過去の記事に候補者の名前が入っていていたら、新しく別の記事を書くことができないのか?
 これはまったく新しい領域で、筆者の知る限り、判例はありません。

 市民常識からみて、皆さんはどう感じますか?
 やはり、見たい人が見に来るサイトやブログ、特に、毎日新しい記事が上に積み重なっていくブログを、ばらまく文書や道ばたに貼り付けるポスターと同じ扱いと解釈していることに無理があると感じるのは筆者だけではないと思います。

 特に、推薦人や反対人の名前まで含めて考えると、過去の記事に名前が載っているだけで更新がだめだとすると、すでにできている商業的なサイトやブログのほとんどが更新不能になってしまうはずです。そんな非現実的なことあり得ません。本当に日本の経済活動が止まってしまいます。

 実際には、悪意のないたくさんの一般市民がどのように行動するのかで、法解釈が現実をおいかけていくことになる、という展開を想像するのは私だけでしょうか。

 候補者の名前が登場するとしても政治評論や日記を書くこと、あるいは、名前が登場しない記事を新しく書くことが選挙違反とは思えないという方は、警察が違反扱いするとしても通常、いきなり検挙ではなくまず警告をするのが普通ですから、連絡できるメール・アドレスを表示しておくというのも手でしょう。

 ところで、もろに候補者の名前を冠しているブログ、サイトであっても、興味深いのは落選運動の場合です。
 「
第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として」ということは、当選させることを目的として、ということを意味します。だとすると、候補者の名前は出ているが、全く正反対に、落選を呼びかけているブログ、サイトであれば、「脱法文書」にはあたらない、と解釈するのが素直、自然と考えられます。もし検挙されるとしたら、当選させるための活動をしたという容疑で検挙されることになるのですから……

 なお、ブログで一番ややこしいのが、コメント欄やトラックバックです。これはブログの開設者が使うものではなく、訪れた別人が使うもの。もし更新することが違反になるとしても、コメント欄に書いたり、TBした人になるでしょう。共犯になるかというと、共同実行の意思の連絡がない限り共犯にはなり得ません。

参照http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E6%AD%A3%E7%8A%AF

 コメント・TBした側の人についても、その書き込みの中に候補者の名前が入っていない場合、それでも候補者の名前入りの文書図画を頒布・掲示した罪に問うのか? 無理があると思われますが……。コメント欄やTB欄を閉鎖するかどうかは、上記を踏まえて各自が決める必要があります。閉鎖しないことで設置者本人の罪を問うことには無理がありますから、訪れる人に対する親心、親切心という観点から(笑)

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選挙期間中の勝手連イベント


 選挙関係者ではない不特定多数の人やそうした人が参加しているメーリング・リストにイベントの案内を送ることができるかという問題の前に、そもそも勝手連が選挙期間中にできるイベントは何か、という問題があります。


  公選法には、「選挙のための演説会の禁止」という規定があります。(第164条の3)

  しかし、ここでいう演説会とは「あらかじめ特定の候補者等の演説を行うことを周知し、それを聞くことを目的として会場に集まっている聴衆に向かって演説すること」です。

※選挙制度研究会編『実務と研修のためのわかりやすい 公職選挙法(第13次改訂版)』ぎょうせい、p.212


 ということは、あらかじめ特定の候補者が演説を行うことを周知せず、そのイベントのゲストとして候補者が若干の演説をすることは問題ないことになります。これは「幕間演説」と呼ばれるようです。事前のイベント告知・周知の際に「当日、サプライズ・ゲストが来る!」ぐらいの表現をすることはセーフです。複数の立候補者がいる選挙では「××選の候補者が来る!」もセーフと言われています。「特定の候補が演説を行うことを周知」していないからです。もちろん、ゲストとして候補者が参加しないイベントなら最初から何の問題もありません。

  上記の内容に合致していれば、音楽会や映画会や、政治政策をテーマとした座談会、懇親会などを開催することは問題ありません。屋内、屋外を問いません。

  こうしたイベントの案内をすることも大丈夫です。
  そのイベントの宣伝をすることが不自然でない範囲であれば電子メール(メーリング・リスト含む)やブログなどのWEBで宣伝できます。

  ただし、身内への事務連絡を除く文書図画(ネットを含む)をつかってイベント告知を行う場合には、上に書いたようにくれぐれも候補者等の名前を出さないように気をつけてください。「等」は候補者のあだ名やキャッチフレーズ、シンボル・マークなど候補者を連想させるものです。出してしまうと第146条の「脱法文書」として引っかかってしまいます。勝手連の団体名まで含めてチェックする必要があります。もちろん、投票を依頼、呼びかける内容はもろに文書図画規制にひっかかりますから絶対に避けてください。

 以上を逆にいうと、内部事務連絡をのぞいて文書図画(ネットを含む)を一切出さないのであれば、目的自体、もろに当選を目的とする集いを持つこともできます。

  なお、屋外でイベントを開催する時に注意すべきことが一つだけあります。
  「自動車を連ね又は隊伍を組んで往来する等により気勢を張る行為」は第140条で禁止されていますのでお気をつけを。まあ、普通はやらないですよね(笑)   

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電子メールの利用法~文書図画の定義

 ネット時代の勝手連にとってWEBとならんで重要なのが電子メールです。

 この電子メール、これもまた現在の総務省、選管の解釈では文書図画ということにされています。とにかく目で見えるものは何でも文書図画だというのです。たとえば、車の車体や家の壁に描いた絵とか文字、そしてファックスも!文書図画だということにされています。

  このファックスの規制は少数者の人権との関係で特に問題をはらんでいます。耳の不自由な方にとっては、電話でのコミュニケーションに当たるものがファックスです。選挙期間に入ると電話を使い口頭で投票の依頼を行うことは合法ですが、耳の不自由な方へ電話の代わりにファックスを送ると選挙違反に問われたりします。下手をするとこれは障がい者を情報過疎の状態におくことにつながり、問題をはらんでいます。

  とは言え、勝手連は現在の総務省、選管の考えに沿って運動を展開せざるを得ません。

  電子メールを送るとき、整理すべきなのは次の2点です。

送る相手 一緒に選挙運動をしている仲間なのか、そうでない不特定多数の人(以下「一般の人」)なのか。
 ・内容 投票の依頼なのか、そうでないのか。

 一般の人や一般の人が参加しているメーリング・リストに投稿するとき、特定の候補に投票してくださいという内容のメールを送ると、これは「選挙運動のために使用する文書図画の頒布」という選挙違反とされる高い危険性があります。友人が相手でも一緒に選挙運動をしているわけでなければ、同じ扱いになるので気をつけてください。友人に投票依頼するときには候補の確認団体の選挙はがきをつかって送るか電話や対面における口頭で依頼することになります。
  なお、投票の依頼ではなく「選挙運動を手伝ってくれ」と依頼することはこの規制に当てはまりませんが、不特定多数の人にばらまくと規制逃れとしてアウトにされますので、特定かつ少数の人に1対1で行うのが安全です。

 しかし、すでに一緒に選挙運動をしている仲間や選挙運動のためのメーリング・リストにメールを送ることは全く状況が変わります。まさかこの人たちに投票依頼のメールを送るわけはなく、行われるコミュニケーションは事務的な連絡や情報交換です。これは全く公選法にひっかかりません。
 こうしたやりとりには念のため、「内部事務連絡」という表題を掲げておく、というのが昔からの選挙の時の知恵のようです。(紙の文書なら他にも「内部資料」「検討資料」など)

 さて、残る問題は、勝手連が主催するイベントの案内などを一般の人や一般の人が参加しているメーリング・リストに流すことです。
  このことについては、勝手連が選挙期間中にイベントを主催することそのもの、また、WEBを使った宣伝の問題とセットでエントリーを改めます。

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